大西脳神経外科病院

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脳出血

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脳出血

 脳出血とは、脳の細い血管が裂けて、脳の組織の中に直接出血することです。前触れ症状はほとんどなく、ある日突然に起こります。出血した血液は血腫という塊をつくり、これによって直接的に脳細胞を破壊したり、周囲の脳組織を圧迫したりして、様々な脳の働きを傷害します。 

 

 

脳出血の原因
高血圧が危険!!

  脳出血の多くは、長年の高血圧が原因となります。脳の中の細い血管の壁をもろくし、その一部が膨らみいくつもの小さなコブ(微小動脈瘤)ができます。この状態でさらに高血圧が続くと、その一部が破裂して 脳内に出血します。これは“高血圧性脳出血とよばれ、脳出血の約9割を占めます。高血圧は主に生活習慣と関わりが大きいため、生活習慣の改善や血圧を下げる降圧治療薬が、脳出血の発症・再発の予防として重要となってきます。

 一方、血圧が高くなくとも脳出血が生じる場合があります。若い方の脳出血に多い、脳動静脈奇形という脳血管の先天的な異常や、血液自体の異常(血小板の異常や凝固機能の異常)、また脳腫瘍から脳出血をおこすこともあります。

 

 

脳出血の診断
脳出血のCT・MRI画像

 新しい出血はCT画像にて白く見え、脳出血の場合は診断を容易に行うことができます。尚、検査もMRI検査に比べて簡便(体内金属の有無に関係なく)にかつ短時間で検査を行うことができます。

 MRI検査はいくつかの方法で撮影をするためCT検査よりも時間がかかりますが、感度が高く、また併せて血管を撮像して出血源となる脳動脈瘤や動静脈奇形などがないかの確認もできます。また、運動や感覚などの神経繊維の走行を可視化させるトラクトグラフィーなど、その後の治療に役立つ画像を提供することができます。

 

脳出血例のトラクトグラフィー

体の運動の信号を伝達する 神経繊維である錐体路(皮質脊髄路)の正常画像

 

被殻出血にて錐体路が圧迫されているが、神経繊維の走行は保たれていることがわかる

 

 

視床出血により錐体路の神経繊維の走行が途絶されている様子を観察できる

 

 

 

治療とリハビリ
脳出血の治療...

 脳出血の急性期治療は手術による血腫の除去や降圧剤による血圧のコントロールが行われます。重症度合いが中等度で機能予後や意識障害の改善が見込まれる場合は外科的治療(手術)が行われることが多く、軽症例や重篤な例においては内科的治療が選択されます。                    選択については、患者さまのご年齢や発症前の日常生活、脳卒中の既往、血液の凝固能、患者様やご家族の意向にそい、患者様を取り巻く全体を考えた上で治療を行っております。

外科的治療

 脳内にある血腫の量を減らして、周囲の脳のダメージを軽減することが大きな目的となります。残念ながら失っている(出血によって深く傷ついた)脳の機能を回復させる手術法はありません。

内科的治療

 出血を増やさないことを考え、血圧や脈拍を安定化させるために安静が必要となります。特に著しく血圧が高い場合は、降圧剤を用いて積極的に血圧を安定させることも行われます。その他には、脳浮腫(出血部周りのむくみ)や胃潰瘍(合併しやすい)の治療も併せて行われます。

 

 これらの治療がおこなわれたうえで、正常脳への圧迫解除とリハビリテーションによる脳の可塑(かそ)性により、意識や機能回復が得られる場合が多く見うけられます。急性期治療と早期からのリハビリテーションを行うことで、患者様の生活自立度ができるだけ改善されるように最大限の診療に努めております。