大西脳外科クリニック

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O's News 2026年9月 第260号

片頭痛について ~CGRP製剤がもたらす新しい予防医療~

慢性的な頭痛(頭痛持ち)の方は3000万~4000万人といわれており,自覚症状として2人に1人が「自分は頭痛持ち」と答える調査もあります。実際,日常診療においても,頭痛を主訴に当院を受診される患者さんが非常に多いです。仕事や家事・育児など,日常生活にも影響が出てしまいますし,診療する側としてもどうにか力になりたいものです。

その中でも,今回は「片頭痛」について取り上げたいと思います。

2040歳代の方に多く,女性が男性の約4倍多いといわれています。こめかみから側頭部にかけてズキンズキンと脈打つような拍動性の強い頭痛が特徴的です。片側が多いですが,両側性に起こることもあります。目の前が見えにくくなり,キラキラと輝く歯車のようなギザギザした模様が視野全体に広がるといった症状 (閃輝暗点)が前兆としてあったり,光や音,臭いに過敏になったり,嘔吐を伴うこともあります。症状が起こるメカニズムは,何らかの刺激で血管の周囲に分布している三叉神経(知覚を担う神経)が刺激され,血管作動性物質(CGRP:カルシトニン遺伝子関連ペプチド)が分泌されます。そのCGRPによって,血管が拡張し炎症が起こることで痛みとして脳に伝わるといわれています。症状の引き金となるのは,ストレス(週末などストレスから解放されたときが多い),疲労,寝不足,寝すぎ,月経,天候,温度や気圧の変化,頻回の旅行,空腹,脱水,飲酒が挙げられます。

脳神経外科部長   
岡本 愛

増悪因子としては,日常動作,入浴,マッサージ,アルコールといった血管が拡張するようなことで,軽快因子としては,安静,冷却,適切な睡眠,適度な緊張といった血管が収縮するようなことです。治療薬として,発作時の症状を抑えるお薬と発作を予防するお薬があります。血管の収縮に関与するセロトニン受容体を刺激するトリプタン製剤と、上述のCGRPの働きを阻害するCGRP製剤があり、作用機序が異なります。従来はトリプタン製剤がよく使われていましたが、最近CGRP製剤が発売されたことで片頭痛の日数が50%以上減少したと報告されています。当院ではCGRP製剤として、内服薬、注射薬いずれも採用しています。持病のある方や妊娠されている方,その可能性がある方で使えるお薬が変わってきます。ぜひ当院スタッフに相談してください。少しでも日常生活が過ごしやすくなるよう一緒に考えていきたいと思います。