加齢に伴い、歩いているとだんだん足がしびれてしまい、休憩を取らないと歩けなくなる症状(間欠性跛行)がよく出現します。その原因として、脳、脊髄から足につながる神経が腰、お尻、太もも、ふくらはぎ、足首などで物理的に圧迫が加わり続けるために生じることが非常に多いです。 「腰部脊柱管狭窄症」や「腰椎すべり症」は、骨の変形、関節のずれ、分厚くなった靱帯や椎間板の飛び出しなどのために「脊柱管」と呼ばれる背骨の中の神経の通り道が狭くなることで「歩くと足がしびれる」ようになります。また、お尻や足首などでも神経が圧迫されることで同じような症状が出現します。足のしびれや痛みのことを「坐骨神経痛」とまとめて表現されますが、実はその原因は様々で、長年腰に原因があると思われていたものが、きちんと検査をうけてみたら、実は他の部位に原因があったということもよくあります。 症状の改善のためには、まず原因をきちんと突き止め、その上で適切な治療を受けることが大切です。腰に原因があるかどうかを調べる検査としては、レントゲン、MRI、CT検査が行われ、原因が複数あることも多く、局所麻酔薬を用いたブロック治療なども行い、正確に原因を突き止めます。さらにお尻、太もも、ふくらはぎ、足首などに原因があるかどうかは、末梢神経伝導検査やさまざまなブロック治療の効果などを踏まえて診断いたします。また、原因が神経ではなく、動脈硬化などのために足の血管が細くなり血流不足のために生じる病気(閉塞性動脈硬化症)もあります。 軽症の場合は様々な薬物治療、ブロック治療、リハビリテーションなどでの改善を目指しますが、激痛で日常生活もままならない場合には手術治療も検討いたします。高齢の患者さんが非常に多く、本院ではできるだけ体の負担をかけないように、顕微鏡や内視鏡を用い、小さな傷での精密手術を行っています。 足のしびれの原因はさまざまで、症状の改善のためには原因に応じた専門的加療が必要です。お困りの方は一度専門医に相談されることをお勧めします。
副院長
脊椎・脊髄センター長
山本 慎司