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脊髄損傷、脊椎損傷

脊髄損傷、脊椎損傷

 交通事故や転倒転落事故、スポーツなどで大きな外力が脊椎に加わることで骨折し、関節や靭帯が破壊されることで脱臼してしまうことがあります。比較的外力が軽度で骨や靭帯の損傷のみの「脊椎損傷」の状態であれば骨折や脱臼に対する治療で済みますが、骨折や脱臼が高度でその内部の脊髄までダメージが及んでしまうと、様々な手足の麻痺や感覚障害、排尿排便障害、呼吸障害、血圧調整障害などを生じます。このような状態が「脊髄損傷」と呼ばれます。

    

 残念ながら現在でも毎年5000人以上の方が新たに脊髄損傷を受傷し、10万人以上の方が重度の麻痺などの大きな後遺症を抱え、車いす生活や寝たきり生活などが余儀なくされています。

 脊髄のダメージの程度によって、生じる麻痺や感覚障害の程度も様々です。動きも感覚も完全に消失した最重症例の回復は困難ですが、受傷直後は重症でも、時間とともに回復してゆくことも少なくありません。良好な回復のためにはできるだけ早期から離床、リハビリテーション開始が最も大切で、受傷直後より専門的な集中治療を開始し、血圧や呼吸、体温など全身状態の安定を図り、早期離床を図るために損傷した骨や靭帯を早期に手術で修復固定し、できるだけ安静時間を短縮し積極的なリハビリテーションに耐え得る状態を目指すことが一般的です。急性期より、医師のみならず、看護師、理学療法士、作業療法士、嚥下・呼吸療法士がチームとなって集学的な治療を行うことが大切で、肺炎、尿路感染、褥瘡の発生を予防しながらリハビリテーションを継続することが重要です。

 手術方法も以前と異なり、様々な金属具を用いた強力な内固定手術が開発され、神経学的モニタリングや術中イメージング、ナビゲーションシステムなどを用いて安全に手術が行えるようになりました。