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脊髄血管障害

脊髄血管障害(脊髄動静脈奇形、脊髄梗塞など)

 体のあらゆる臓器は、血液を介して酸素、栄養、ホルモンなどの伝達物質のやり取りを行っており、動脈、毛細血管、静脈などの血管を介して心臓、肺をはじめ体中の様々な臓器とつながっています。血管障害とは、血管が詰まったり、破裂したり、血管自体の異常で血液が流れすぎたりすることで臓器にダメージが及ぶ疾患で、脳では脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などがまとめて「脳卒中(脳血管障害)」と呼ばれ、心臓では心筋梗塞や狭心症が、その他肺梗塞、腎梗塞、腸管動脈閉塞による腸管壊死などが有名です。それらと比べて発症頻度は低いのですが、脊髄でも、血管が詰まったり切れたりする疾患が発生します。

 脊髄で出血する病気の多くは、「脊髄動静脈奇形」や「脊髄海綿状血管腫」とよばれる、脊髄の血管に先天的あるいは後天的に異常をきたし、脆い部分から出血することが多いです。特に脊髄動静脈奇形はさまざまなバリエーションがあり、それぞれ出血しやすいタイプや、脊髄の循環障害を起こして進行性に麻痺や感覚障害、排尿排便障害をきたすタイプもあります。

 一般的には「脊髄髄内動静脈奇形」は先天的な要素が大きいため、若年発症が多く、血管内治療や放射線治療、直達手術を組み合わせて治療を行うことが多いです。

  

 

 「傍脊髄動静脈奇形、傍脊髄動静脈瘻」と呼ばれるものは、先天的要素と後天的要素が組み合わさっていることが多く、こちらもその異常血管の形態に応じて血管内治療と直達手術を組み合わせて治療を行います。

   

 

 

 「脊髄硬膜動静脈瘻、硬膜外動静脈瘻」とよばれるタイプは、後天的な要素が大きく、比較的血管構築が単純なものが多いのですが、正常の脊髄血管との関係によって、血管内治療と直達手術を選択することが多いです。

   

 その他、さまざまなタイプがありますが、全体的に発生頻度は低いため、脊椎脊髄専門医でもこの疾患に精通した専門医も少ないのが現状です。正しい診断とそれに対する適切な治療が行われないと、症状が悪化したり、その後の治療がさらに困難になってしまう場合があります。基本的には脳血管障害と同じく、直達手術、カテーテルを用いた血管内治療、放射線治療を組み合わせて行うため、脳神経外科にて診断治療を行うことが一般的です。本院ではさまざまな検査方法を駆使して正確に診断し、ハイブリッド手術室にて脳神経血管内治療と直達手術を組み合わた精密な治療を行っています。

 脊髄梗塞は脊髄の血管が何らかの原因で詰まることで脊髄にダメージが及ぶ病気で、脳梗塞と比べて頻度が低いのですが、様々な原因で発生します。発症すると、大きな後遺症が残る場合が多いので、速やかに診断を行い、適切や薬物治療や早期からの積極的なリハビリテーション、再発予防治療を継続することが大切です。